睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠時無呼吸症候群では具体的に、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」を、
1時間あたり5回以上発生する状態を指します。
この無呼吸や低呼吸の状態が続くことで、体内の酸素濃度が低下し、寝ている際に何度も目が覚めてしまいます。
睡眠時無呼吸症候群が進行すると、「倦怠感」や「日中の強い眠気」、「気分の落ち込み」、「起床時の頭痛」などの症状がみられ、日常生活にも影響が及びます。
また、血中酸素濃度の低下や睡眠不足によるストレスが原因となり、血圧、血糖値やコレステロール値の上昇を招き、生活習慣病の発症リスクも増加します。
睡眠時無呼吸症候群が原因となって動脈硬化が進行してしまうことで、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが3〜4倍高くなるとされています。
睡眠時無呼吸症候群の患者数
日本国内の睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数については様々な文献で報告されていますが、
2019年に報告されたものでは940万人以上(※1)いると言われています。
一方で、厚生労働省の社会医療行為別調査によると、SASの治療を受けているのは65万人程度であり、多くの方が睡眠時無呼吸症候群の治療を受けていないことになります。
睡眠時無呼吸症候群は早期治療で劇的に改善することが多いため、周囲からいびきや無呼吸を指摘された方、
日中に眠気を感じたり全身の倦怠感を感じる方はぜひ当院にご相談ください。
※1 Benjafield AV, et al: Lancet Respir Med 2019; 7(8): 687-698.
下記のような項目に該当する方はご相談ください
・いびきを指摘された
・自分のいびきで目が覚めたことがある
・パートナーの方のいびきが気になる
・寝ている際に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
・仕事や勉強に集中できない
・日中に強い眠気を感じる
・寝ても疲れが取れない、疲労感を感じる
・息苦しさで夜中に目が覚めることがある
・車などの運転中に強い眠気を感じることがある
・起床時に頭痛を感じる
・夜間にトイレで何度も目が覚める
・寝て起きた時に汗をかいている
上記のような項目に該当される場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
当院では睡眠時無呼吸症候群の診察・治療にも力を入れています。些細なことでも構いません。お気軽にご相談してください。
睡眠時無呼吸症候群の種類
睡眠時無呼吸症候群は、主に以下の2つに分類されます。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
上気道が閉塞し、気流が停止することで無呼吸状態となってしまいます。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は睡眠時無呼吸症候群の中で最も多く、男性の約30%以上、女性の約20%が罹患していると言われています。
気道がふさがれている状態で呼吸をすることになりますので、息を吸う際に腹壁と胸郭がへこむことが特徴的です。
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とは異なり、上気道の閉塞が原因ではありません。
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は中枢神経系の障害によって引き起こされ、脳が適切に呼吸を行えなくすることで発症します。
具体的には、脳の呼吸中枢から呼吸を促す信号が送られていますが、この信号が正しく送られず、呼吸が止まってしまうことが原因となります。
一般的には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の方が多く、睡眠時無呼吸症候群患者の約90%が閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に該当します。
ここでは、主に閉塞性タイプの睡眠時無呼吸症候群について説明します。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の原因
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の主な原因の一つは「肥満」です。
体重の増加に伴い、喉のあたりに脂肪が蓄積してしまい、その結果として気道が狭くなることで閉塞性睡眠時無呼吸は発症します。
さらに、仰向けで寝ると脂肪が気道の上に覆いかぶさるようになるため、余計に気道が狭くなります。
この狭くなった気道を空気が通ることでいびきが生じます。気道が完全に塞がれてしまっていると無呼吸状態に陥ってしまいます。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は肥満体型の人だけがかかる訳ではありません。
痩せている人であっても「下あごが小さい」や「扁桃腺が大きい」といった特徴がある場合、気道が狭くなりやすいです。
さらに、閉経後の女性や高齢者も閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)になりやすくなると言われています。
そのため、痩せている人や高齢の方でも閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)には注意が必要です。
当院が行っている睡眠時無呼吸症候群の検査
当院では、睡眠時無呼吸症候群の診断にPSG検査(ポリソムノグラフィー)を行っています。
PSG検査により、無呼吸・低呼吸指数(AHI)を測定し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を診断します。
AHIの値による重症度分類は以下の通りとなります。
軽症:5~15
中等症:15~30
重症:30以上
AHIが5以上で、日中の過度の眠気などの症状を伴う場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
簡易型PSG検査
当院では簡易型PSG検査を行っています。
簡易型PSG検査では、いびきや日中の眠気があり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある方に対して最初に行う検査です。
この検査はコンパクトな装置を使用し、寝ている際の心拍数、酸素飽和度、および呼吸パターンなどの基本的な生理データを記録します。
装置には2種類のセンサーがあり、指に装着する小さなセンサーと、鼻に装着するセンサーから構成されています。
これらのセンサーによって睡眠中の酸素レベルや呼吸パターンを記録していきます。
簡易型PSG検査の最大のメリットは、自宅で検査ができる点です。
PSG検査を受けるためにわざわざ休暇を取ったり、日常生活の予定を調整していただく必要はありません。
患者さん自身で検査装置を装着し、普段通りに寝るだけで睡眠中の呼吸状態などを記録することができます。
また、このPSG検査は保険適用となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
当院では、睡眠時無呼吸症候群の治療でCPAP療法を行っています。
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法とは、睡眠時無呼吸症候群の治療法として最も効果的とされており、
欧米や日本でも広く普及している治療法です。
CPAP療法では、患者さんが鼻にマスクを装着し、一晩中一定の気圧の空気を気道に送り続けてくれます。
これにより、睡眠中の無呼吸状態を防ぎ、質の良い睡眠を確保してくれます。
適切な空気圧を設定することで、日中の疲労感や頭痛、集中力の低下などの症状は改善されます。
特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療に非常に効果的であると言われています。
当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適なマスクの選択や空気圧の調整など、きめ細かな設定を行っています。
お気軽にご相談してください。
簡易PSG検査からCPAP治療までの流れ
※上図は他のサイトから持ってきておりますので、当院版に作り変えていただきたいです
1. 診察
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、いびき、睡眠時の無呼吸、起床時の頭痛、日中の強い眠気、夜間にトイレで何度も目が覚めたり、
不眠などの自覚症状があります。
診察時に睡眠時無呼吸症候群が疑われる方にはスクリーニング検査を提案しています。
診察のみでスクリーニング検査の必要がないと判断した場合でも、日常生活での改善点などもお伝えをしています。
2. スクリーニング検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まず自宅で行える簡易型PSG検査を受けていただきます。
睡眠中の無呼吸や低呼吸の頻度が多い場合には、この簡易型PSG検査だけで睡眠時無呼吸症候群と診断されます(AHIが40以上の場合はCPAP治療の適当となります)
AHIが40未満の場合は、確定診断として入院が必要となる精密PSG検査を受けていただくことになります。
当院では精密PSG検査を行っておりませんので、近隣医療機関へ紹介をさせていただきます。
3. CPAP治療
簡易型PSG検査でAHIが40以上の場合、または簡易型PSG検査で40未満でその後の精密PSG検査でAHIが20以上であった方はCPAP治療の適応となります。
CPAP治療は保険診療で受けていただけます。
