肝機能障害

肝機能障害とは

以下のような項目に該当する方は要注意です!
以下の項目に一つでも該当することがあれば、お早めにご相談ください。

・肝臓の機能(AST、ALT、γ-GTPなど)で異常を指摘された
・身体がだるいと感じる(全身倦怠感)
・疲れが取れない
・身体が重く感じる
・最近食欲が沸かない
・身体がむくんできた

上記のような項目に一つでも該当される方は肝臓機能障害の可能性があります。
肝臓は『沈黙の臓器』とも言われる臓器で、特に自覚症状を感じにくいことが特徴としてあげられます。
健康診断などで肝臓機能で異常を指摘された方、ご自身の体調面で不調を感じる方はお早めに当院までご相談ください。

肝臓について

肝臓は人の身体の中でも多くの役割を持っている臓器で、代謝、解毒、エネルギー等の貯蔵、合成といったことに肝臓は関わっています。

代謝

肝臓は食事などで体内に取り込まれた栄養素を貯蔵し、必要なタイミングでエネルギーとして使用することができます。このエネルギーが必要な時に使用されることを「代謝」といいます。

解毒

肝臓は体内に入ってきた有害物質を解毒してくれる働きがあります。この機能は体内の健康状態を保つために不可欠であり、アルコールや薬物、金属や農薬などの物質の分解を肝臓はしています。

貯蔵

肝臓は体内で必要な栄養素やエネルギーを貯蔵しています。必要な時に栄養素やエネルギーを全身に供給しています。肝臓で貯蔵している物質にはグルコースや脂肪のほか、ビタミンやミネラルなどがあります。

合成

肝臓は物質を合成する機能があり、ホルモンや胆汁の生成も肝臓で行われています。

肝機能障害が生じる原因

肝機能障害は、さまざまな要因によって引き起こされます。肝機能障害が発症してしまう主な原因を以下に記載しています。

ウイルス感染

B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)といったウイルス感染により、肝細胞で炎症が生じ、肝機能障害が発症する場合があります。これらのウイルス性肝炎は、慢性化しやすいため、ウィルス性肝炎にかかっていると肝硬変や肝がんなどの発症リスクが高まります。

脂肪肝

肝臓の細胞内に過剰に脂肪分が蓄積している状態で、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)に分類されます。
アルコール類を飲みすぎてしまうことで発症するのがアルコール性脂肪肝で、アルコールは飲んでいなくても食べ過ぎや普段の生活習慣が原因となって発症するのが非アルコール性脂肪肝(NAFLD)です。
非アルコール性脂肪肝(NAFLD)だと肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病と発症が関連していると言われています。

薬剤性肝障害

一部の医薬品は、内服していると肝臓に対して影響を及ぼすことがあります。
医薬品を内服することで発症する肝障害が薬剤性肝障害と言います。
薬剤性肝障害は処方薬やサプリメント、漢方薬など原因となります。

自己免疫性疾患

体内に異物が混入してしまうと自己免疫系が働き、異物を体外へ排除させるために働きます。
この自己免疫系の働きが誤って正常な肝細胞を攻撃してしまうことで肝臓で炎症が生じてしまうのを自己免疫性肝炎と言います。
自己免疫性肝炎の明確な発症原因はいまだに分かっていません。
そのため、定期的に検査を受けていただき、ご自身の健康状態を把握していただく必要があります。

肝機能障害を治療せずに放置していると

健康診断などで肝臓の数値(AST、ALT、γ-GTPなど)で異常を指摘されたとしても治療せずに放置していると、
肝機能障害、肝硬変、肝不全、肝がんなどの重大な病気が発症するリスクが高まります。

肝硬変

肝臓で異常が生じている状態が慢性的に続くと肝臓が硬く変化してしまい、肝臓機能が低下してしまいます。
この状態を肝硬変といい、最終的には肝臓が機能しなくなる肝不全に至ることがあります。

肝不全

肝不全は肝臓機能が著しく低下している状態です。
生命を維持するために必要となる代謝活動が行えなくなります。
肝不全には急性肝不全や慢性肝不全の2つがあり、いずれの場合でも生命を脅かす重篤な病気です

肝がん

肝機能障害が進行していくと肝細胞がん(肝がん)の発症リスクが高まってしまいます。
肝臓は『沈黙の臓器』とも呼ばれる臓器で、自覚症状を感じにくいのが特徴です。
肝がんは生死に関わる重大な病気でもありますので、肝臓機能で異常を指摘された方はお早めにご相談してください。

肝機能障害の検査

肝機能障害を診断するためには、以下のような検査を行っています。

血液検査

1. 肝酵素測定

採血検査ではALTやASTの値を測定します。ASTやALTは肝細胞が損傷することで血液中に放出される物質となります。
そのため、肝機能障害によって肝臓の細胞が傷ついてしまうと血液中にASTやALTが放出されることになりますので、
基準値よりも高い数値が出ることになります。ASTやALTの基準値は30 IU / L以下です。

2. ビリルビン測定

ビリルビンとは、肝臓で処理される赤血球の分解産物のことを言います。ビリルビンの血液中の濃度が高い場合は肝臓での処理が追いついていないことを示していますので、ビリルビン測定を実施し、基準値を超えている場合は肝機能障害が疑われます。

3. アルブミン測定

アルブミンは肝臓で合成されるたんぱく質のことを言います。アルブミンの値が低下している場合は肝臓で合成が進んでいないことを示します。アルブミンが基準値を下回っている場合は肝機能障害が疑われます。

4. 画像検査

肝機能障害が疑われる場合は腹部超音波検査(腹部エコー検査)を行うことがあります。お腹に超音波をあてて肝臓の形や脂肪の状態を確認することができます。腹部エコー検査は外来ですぐに検査が行えます。

お問い合わせ

肝臓は人間の身体において非常に重要な臓器の一つとなります。
肝臓は沈黙の臓器とも言われるように神経系が少ないため、自覚症状を感じにくいのが特徴です。
そのため、定期的に健康診断などを受診していただき、ご自身の肝臓の状態を確認していくことが大切です。
健康診断などで肝臓の異常(ASTやAST、γ-GTPなど)を指摘された方は些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談してください。